医者と結婚したいし、アメリカ暮らしにも憧れている。こんな欲張りな女性もいると思います。医者と結婚してアメリカで暮らせる可能性はあるのでしょうか?医師がアメリカで働くための方法についてもご説明します。
医者と結婚してアメリカで暮らせる可能性はある?
医者と結婚して裕福な生活を過ごしたい。でも、もう1つ夢があってアメリカで生活してみたい。できれば子供を海外子女にできるといいな。このように夢を膨らませている女性もいると思います。今回は、医者と結婚してアメリカで暮らせる可能性や方法についてご説明したいと思います。
医者と結婚して、アメリカで暮らせる可能性が高い方法は、結婚相手の医者がアメリカに留学することです。医師の海外留学には、2つ種類があります。1つは研究留学であり、もう1つは臨床留学です。
研究留学とは
研究留学とは、文字通り研究目的のために留学することです。医師の留学の多くは研究留学となります。医学部を卒業後に、日本の大学院に進学して博士号を取得します。そして、医局に籍を残したまま、教授や医局とコネクションがあるアメリカの医療機関や研究室に留学するのが一般的です。
ここで医師の大学院への進学について補足しておきます。普通は、大学院といえば修士課程が2年、博士課程が3年です。しかし、医学部医学科は6年制のカリキュラムのため、卒業後は、すぐに博士課程4年のコースに進みます。
以前は、ほぼすべて医局から研究留学していたのですが、昨今では、医局に属さないで、国際学会などで自ら留学先を探したり、人脈を活用したりして、研究留学を実現している人も増える傾向にあります。
研究留学では、アメリカの医師免許は必要ありません。TOEFLの点数提出なども必要ありませんが、英語力を高めておくことは必須条件です。有名大学や研究所では、無給の博士研究員を優先して採用するため、研究留学は無給となる場合が多いです。
大学や研究所によっては、給与が出る場合もありますが、それでも金額は低いので、日本の奨学金の受給が必須となります。研究留学の期間は、1年間から3年間程度が多いです。
臨床留学とは
臨床留学とは、臨床医としてのスキルアップを目的とした留学です。海外の大学や医療機関に勤務して患者の診察に携わるために、留学先の国の医師免許を取得することが必要となります。医学部を卒業して医師国家試験に合格した後、初期臨床研修を2年間終了後に留学するのが一般的です。
外科医では、初期臨床研修の後、専攻医を経て専門医に認定されてから留学する人もいます。ある程度のスキルが身についてからのほうが、留学が役立つからです。
アメリカ留学をする場合には、アメリカの医師免許取得までの費用がかかります。もちろん、その間は無給です。そして、アメリカの大学や医療機関で働き始めても、給与は日本よりもかなり低くなります。
レジデントと呼ばれる研修医に相当する期間の年間給与は、日本円で500~600万円程度です。日本であらかじめ備えておいた貯金を切り崩したり、医療機関の支援金制度を活用することになります。
臨床留学の期間は、レジデンシープログラムが3年間から5年間、フェローシッププログラムが1年間から4年間くらいを要します。
医師がアメリカで働くための方法を知る
留学は終了したら帰国することが前提ですが、ここからは、単なる留学ではなく、医師がアメリカで働き続けるための方法についてご説明します。
日本の医学部を卒業してからアメリカで働く方法
日本の医学部を卒業してからアメリカで働く場合には、ECFMG Certificateと呼ばれるアメリカの医師免許を取得しなければなりません。臨床留学でもECFMG Certificateの取得が必須なので、日本の医学部を卒業してからアメリカで働き続けたい人は、臨床留学の後に、そのままアメリカに残って働き続けるというコースをたどる人が多いです。
ECFMGとは、「Educational Commission for Foreign. Medical Graduates」の略で、直訳すると「海外医学部卒業生のための教育委員会」となります。つまり、アメリカで臨床に従事したい外国人医師の適性を証明する非営利団体のことです。医師免許を取得して一人前の医師として働くまでのステップは、下記の通りです。
- 日本の医学部卒業後に日本の医師国家試験合格
- ECFMGにてUSMLE受験申込
- USMLEステップ1を受ける
- USMLEステップ2 CKを受ける
- OETを受ける
- ECFMG Certificateを取得
- USMLEステップ3を受ける
- レジデンシープログラムを受ける
- フェローシッププログラムを受ける
ここでUSMLEとは、「United States Medical Licensing Examination」の略で、米国医師国家試験のことです。USMLEステップ1は、基礎医学の試験です。臨床医学を学ぶ前に学ぶ、医学の基礎で、日本の医学部では1年生から3年生にかけて勉強する分野です。
USMLEステップ2 CKは、臨床医学の試験です。CKは「Clinical Knowledge」の略です。すべての科の知識が試験範囲となっているので、かなり大変です。
以前は、Step2 CSという、診断を模擬患者に行い、その様子を試験管が確認するという実践試験がありました。CSは「Clinical Skills」の略です。しかし、今はUSMLEステップ2 CSの代わりに、OETというオンラインで受講可能な医療英語の試験が実施されています。
OETは、英語が母語ではない医療従事者に対して「実際に海外で働くことができる英語力があるか」どうかを測定することを目的とした語学テストです。
これらの試験にすべて合格すると、ECFMG Certificateを取得することができます。
ECFMG Certificateを取得することができたら、レジデンシープログラムに申請します。病院と医師の双方の希望をもとに、オンラインマッチングとなります。このプログラムを受けている医師をレジデントと呼びます。
USMLEの成績と推薦者からの推薦が重要です。アメリカ人を優先的に採用するので、日本人はかなり狭き門となります。USMLEに1回合格で成績優秀でないとかなり厳しいです。日本人は治安が悪い地域や、僻地などでしか採用してもらえない可能性があります。もしマッチングしなければ1年間待機となります。
そして、ECFMG Certificateを取得後には、USMLEステップ3を受けなければなりません。これは、医学全範囲(基礎、臨床)からの出題となります。総チェックという位置づけです。これに合格しないと、アメリカでの診療ができなくなります。
レジデンシープログラムを終了したら、フェローシッププログラムに進みます。専門科(循環器内科、腎臓内科、小児消化器肝臓科、小児感染症科など)の知識とスキルを深めるためのプログラムです。このプログラムを受けている医師をフェローと呼びます。
アメリカのメディカルスクール卒でアメリカで働く方法
日本の医学部を卒業してからではなく、アメリカのメディカルスクールを卒業してからアメリカで働く方法もあります。その場合のステップは、下記のようになります。
- 4年制大学を卒業(日本でもアメリカでも可)
- MCAT受験
- メディカルスクール (医学大学院4年制)卒業
- インターンシップ(1~2年)
- 州ごとの医師登録
- レジデンシープログラム
- フェローシッププログラム
4年制大学は、一般学部でよいですが、メディカルスクール受験資格には、生物、化学、物理が必要なので、それらの単位を取得できる学部を選びます。MCATとは、「Medical College Admission Test」の略です。これはメディカルスクールに入学するための、全国統一国家試験です。
メディカルスクール在学中に、USMLEステップ1、USMLEステップ2の試験を段階的に受けていきます。そして卒業すると医学博士号 (M.D.) が与えられます。
メディカルスクール卒業後の臨床研修1~2年目をインターンシップと呼びます。研修医はインターンです。主要診療科を一通り回ります。その間にUSMLEステップ3を受けます。
アメリカでは州ごとに医師登録する必要があります。その後は、レジデンシープログラムとフェローシッププログラムを順次、受けることになります。レジデンシーは、内科なら3年、外科なら5年が一般的です。フェローシップは1~4年間くらいです。
フェローシップ終了後の医師をアテンディングと言います。いわゆる専門医です。アテンディングになると、給与が大幅にアップします。
まとめ
今回は、医者と結婚したい女性が、意外に高い関心を持っている、医者と結婚したらアメリカで暮らせる可能性はあるかという疑問にお答えしてみました。専門用語が多くて分かりにくかったかもしれませんが、医師としてアメリカで働くことは、かなりハードルが高いです。
したがって、研究留学をする医師は比較的多いのですが、臨床留学やアメリカで働き続ける医師はかなり限定されています。アメリカで医師として働きたいのであれば、学生の頃から、計画を立てて試験対策をしておく必要があります。
医者と結婚するだけでも大変なのに、さらにアメリカで医師として働いてくれないかなというのは、かなり困難な望みだと思います。どうしてもアメリカで暮らしたいのであれば、商社、銀行、メーカーなどアメリカ支社があるエリート会社員と結婚するほうが可能性が高いと思います。
医者と結婚して日本で裕福な暮らしをして、学会のお供や、海外旅行などでアメリカ滞在を楽しむことで十分ではないでしょうか。研究留学前の医者と結婚すれば、短期間ではありますが、アメリカ暮らしができる可能性もあります。
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